県都盛岡と花巻空港を結ぶ地域縦貫道

はじめに
 平成15年6月2日の岩手日報の朝刊第1面トップに花巻空港の誘導路工事の休止検討の記事が掲載されました。社会情勢による旅客減、公共事業費削減などの背景事情によると伝えています。地方の時代と叫ばれる中にあって、地域産業、地域活性化のためにはITによる情報の高速化とともに交通体系の高速化が求められています。現在、花巻空港は98年度から着工された整備事業の最中にあり、滑走路500メートル延長、ターミナル地域の東側移転、平行誘導路の新設されて大幅に機能が拡充されます。02年度までの進捗率は約70%ですが、今後は計画の大幅な見直しに迫られ完成は遅延されるる模様であり大変残念な状況です。

地形を活かす
 一般的に殆どの空港は市街地から遠く離れた環境にあるため、その交通アクセスの問題が利用を阻害する要素になるケースが多いようです。花巻空港も国道4号線に依存しており、県都盛岡との交通体系が利用向上のネックになっていると考えられます。そこで、その活用が格段に向上させる解決の手段の一つとして、盛岡と花巻空港を結ぶ直通アクセス道路を北上川西岸に通すことを提案します。北上川に沿って形成される道路は、橋の袂では高低差のある地形の立地を利用して立体交差を実現し、他の交差点は片側が河川であるためにT字路となり優先性が確保されます。必然的に全線において信号機の無いこの上なく安全の図られた高速地域縦貫道が形作られます。しかも、なだらかに流れる河川に沿うために殆どが平坦であり、原野等が多く家屋も少ない地形から建設費用も軽減されると考えられます。この道路の盛岡、空港間が概ね30kmとすると法定速度60kmで走行した場合に30分で結ばれるハイウェーになります。しかも、地域間を平坦にして最短に結ぶことは直通道路という機能に加え地域間の物流、人事の交流を促し、政治、経済の効率化を生み出し地域活性化に大きく寄与するとみられます。

ITを活かす
 この計画は県都と空港を結ぶという一つの機能を満たすだけでなく、リバーサイドの道路であるという特徴を活かして高機能な規格を備えた広域の地域を連携させる道路として活用が可能です。例えば、道路に沿って光ファイバーを敷設し域内の自治体の広域行政を踏まえたASPを構築し電子自治体実現の礎とします。IT革命、e-JAPAN戦略、世界最強のIT国家樹立を目指すとIT推進は叫ばれているものの国民の前には目に見える形で具現化されてない現下の情勢において、広域行政を視野に入れた公共イントラネットの構築は大変意義のある取り組みとなり「IT立国」の形成の第一歩となります。予算の獲得のために市町村合併を促すというビジョンのない姑息な施策に踊るのでなく、国家百年の計を視野に入れた衆知を結集した構想を構築しなくてなりません。そのためには、目先の些事に囚われず現代を形作る過去の経緯に十分な配慮と分析が必要になって来ます。歴史と地勢を考慮に入れたネットワークの形成が広域合併を可能なものにし効率の良い小さな電子自治体を実現します。現在のITの根幹を成すもの一つはパソコンである。そのパソコンの出現を可能にしたものにプリント基板があります。その基板形成の技術はイギリス人が考案した印刷手法のシルクスクリーンによって確立されました。そのイギリス人は京都の友禅染の技法をヒントに考案したものと聞いております。ITは日本人のアイディアが根幹にあったのです。歴史を紐解くことにより未来への道筋が見えてきます。

歴史を活かす
 
広域の盛岡地区において市町村合併の機運が盛り上がらないのは、各自治体間の結びつきが希薄なことに起因すると考えられます。元々の南部藩の所領であった風土は歴史的な強い結びつきを有しております。北上川を辿る道は歴史を振り返る道となり地域の絆を固く結ぶコミュニケーション道路となります。更に、同ルートで地域LANが形成されば、未来に向かう「光の道」となります。住民の生活向上を目指す効率性の良い機能的な広域合併の実現は可能性が強いと判断します。歴史と風土に活かした合理性のある地域縦貫道と地域LANのインフラ整備が明るい未来を形成し地域活性化を促します。盛岡圏の合併によって誕生する自治体の名前を「南部市」とすることを提案します。

結び

 財政の硬直化した現在の経済下において巨大なプロジェクト事業の実現は無理と見る向きは当然の流れですが、効率の良い自治体運営のための広域行政を視野に入れた事業として個々の自治体が自己責任を前提に自主的対応を基本として取り組めば可能性が生じると確信いたします。例えば、地域的事業との連動の事例として、紫波町の場合は城山周回道路の一部として共有を図るならば、広域的交流の効用に加え地域活性化の効果が見込まれ県と町の連携により事業経費の軽減がもたらされます。この路線に関わる自治体、盛岡、矢巾、紫波、石鳥谷、花巻がITの広域ASPの活用も視野に入れながら、地域のコミュニケーション道路として規制や権益の枠を取り払って連携するなら新たな地域活性化が生じるものと期待されます 

(記載責任上、転載はご容赦下さい。)   2003-06-02            佐藤祐輔